プロローグ俺は、一体、今、何処にいるのか?それは、誰にもわからないだろう。 (一体、どれだけ倒した?) 俺は、俺を飯にしようとしてきているモンスターをずっと殺し続けているが、未だに居なくならない。 どれだけのモンスターが俺を追っている? ただでさえ、他の追っ手から逃げるのに必死だというのに。 (潮の匂いがする。近くに海でもあるのだろうか?) 今は、そんなことを考えている隙なんてない。 そんなことをしていたら、俺が殺られる。 とにかく、こいつらを倒しながら、少しでも周りを見回せる場所を探さないと… そうしないと、この紋章が何をしでかすかわかったものじゃない。 だから、今は、逃げることを先決に考えて走ろう。 体力も限界に近い。 魔力は十分にある。だが、ここで紋章を使うわけにはいかない。 周りに被害が及ぶ。 それは、少しでも避けなくてはならない。 だが、そんな悠長なことを言っていられないかもしれない。 潮の匂いが濃くなっている。 急がないと崖にぶち当たるかもしれない。 いや、もうあたる確率が高い。 (あと、どれくらいで崖に着く?) もう崖が、見えてきた。 やばい。 これ以上は逃げられない。 如何する? 紋章で力を封じて、海に飛び込むか? うん。それが、たぶん、一番いい方法だろう。 〔また、力を封じるのか?〕 (封じないといけないんだよ) 〔お前の身が保たないぞ〕 (多少のリスクは背負うつもりだ) 〔今回のリスクは高いぞ?〕 (それでも、俺は、むやみにやつらを殺したくはない) 〔それが、鬼神とまで言われていた者の台詞か?〕 (わかっている。俺らしくないってことは。 でも、今の俺は昔の俺じゃないから。 だから、力を貸してくれないか?) 〔とんだ、無茶をする宿主だな〕 (その宿主を選んだのがお前だろ?) 〔そうだな〕 「…じゃあ、やるか」 〔ああ、こっちはいつでもいい〕 「………我が身に宿りし-------よ。 今、汝の宿主として命ずる。 汝が力を持って我が身の時を戻し、力を封じたまえ」 詠唱が終了とともに俺の体を闇のような光のような輝きが包んだ。 その後の記憶はない。 ジャンル別一覧
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